ブロックチェーンの最新技術

ブロックチェーンの最新技術

ソフトバンク遂にブロックチェーン決済システム開発

ソフトバンク、スプリント、
ファーイーストンおよびTBCASoft、
通信事業者が参加する
ブロックチェーン・コンソーシアムを発足~キャリア間ブロックチェーン決済システムの実験に成功~

2017年9月8日
ソフトバンク株式会社
Sprint Corporation
Far EasTone Telecommunications Co., Ltd.
TBCASoft, Inc.

通信事業者であるソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)、米Sprint Corporation(以下「スプリント」)、台Far EasTone Telecommunications Co., Ltd.(以下「ファーイーストン」)と、ブロックチェーン技術開発企業である米TBCASoft, Inc.(以下「TBCASoft」)は、このたび新しいブロックチェーン・コンソーシアム「Carrier Blockchain Study Group(キャリア・ブロックチェーン・スタディー・グループ、以下「CBSG」)」を発足しましたので、お知らせします。CBSGは今後、グローバル規模でさらに多くの通信事業者の参加を募る予定です。また、ソフトバンク、スプリント、TBCASoft(以下「3社」)は、TBCASoftの革新的なブロックチェーン技術を活用した、キャリア間ブロックチェーン決済システムの実験に成功しました。

2017年2月、3社は、通信事業者向けブロックチェーン技術の共同開発における協力を目指すことに合意し、TBCASoftのブロックチェーン・プラットフォームと通信事業者のシステムを接続する実験に取り組んできました。今回、新たにファーイーストンが加わったことを機に、この連携を、次世代のキャリア間ブロックチェーン・プラットフォームとエコシステムの構築を目指すコンソーシアムに発展させます。CBSGは、安全な清算や決済、個人認証、IoT端末向けアプリケーションなどのさまざまなサービスを、ユーザー向けに提供するプラットフォームの構築を目指して、研究開発を推進していきます。

また3社は、通信事業者のシステムと接続可能なTBCASoftのブロックチェーン技術を使ったキャリア間ブロックチェーン決済システム上で、通信事業者間のトップアップ※1やモバイルウォレット※2連携、国際送金、IoTを使った決済の実験に成功しました。TBCASoftの技術により、24時間365日低コストで稼動し、高い安全性と汎用性を兼ね備えたグローバル・ブロックチェーン・プラットフォーム・システムが実現しました。なお、2017年9月12日から14日に米サンフランシスコで開催される「Mobile World Congress Americas」のスプリントのブース内において、TBCASoftが紹介される予定です。

このプロジェクトでは、通信事業者の通信バックエンドシステム同士を接続します。このシステムにより、通信事業者間のトランザクションの遅延またはエラーをなくすことが可能になります。既存のビジネスオペレーションを大幅に向上するだけでなく、より重要な点としては、通信事業者にさまざまなビジネスチャンスを生み出します。

TBCASoftの創業者 兼 CEOであるリン・ウーは次のように述べています。「TBCASoftは、通信事業者が運用するサーバー上で稼動するブロックチェーン・プラットフォームの分散型台帳ネットワークを開発しています。われわれはグローバルキャリアと共に、世界に広がる数十億人のユーザー隅々にまで革新的なサービスを提供できる、極めて高い安全性と性能を兼ね備えたブロックチェーン・システムの構築を目指しています」

ソフトバンク IT統括 ITサービス開発本部 本部長 福泉 武史は次のように述べています。「TBCASoftは洗練された階層化システムアーキテクチャを採用しており、短期間かつ合理的なコストで、TBCASoftのブロックチェーン・プラットフォームと、ソフトバンクのビジネスサポートシステムおよびモバイルアプリケーション・サーバーを統合することに成功しました。われわれは、通信事業者が今後検討していく価値交換サービスに関し、TBCASoftのブロックチェーン・プラットフォーム上の実装と性能が確認できたことに満足しています」

スプリント イノベーション&パートナーシップ ヴァイスプレジデントであるダグ・ガーランドは次のように述べています。「CBSGは、通信業界においてブロックチェーン技術への理解と発展をリードしていきます。通信事業者が協力し、この新しいプラットフォームとエコシステムを活用することで、ブロックチェーン潜在的な可能性がグローバル規模で最大限発揮されるでしょう」

ファーイーストンのヴァイスプレジデントであるマイク・リーは次のように述べています。「台湾を含むアジア市場では、モバイル決済に対する非常に大きな需要があります。TBCASoftのブロックチェーン・プラットフォームは、通信事業者が分散型台帳システム上で連携することで、この新しいビジネス領域における競争を変えるソリューションを提供します。さらに重要なのは、通信事業者がCBSGコンソーシアムを通じて、グローバルサービスを提供するためのブロックチェーン技術の可能性を、最大限活用するために協力できる点です」

今後CBSGは、他の通信事業者に参加を呼びかけるとともに、キャリア間ブロックチェーン・プラットフォームの要件定義を行っていきます。また、参加メンバーが技術やビジネス、各国の規制当局の法令や規制に関する課題を解決するためのワーキング・グループとしても活動していきます。

[注]
  • ※1
    プリペイド携帯電話の口座のチャージ
  • ※2
    モバイル端末上で、支払い取引ができるデジタル・ウォレットのこと。ユーザーは、ウォレットを使って、提携先店舗での支払いや、口座決済ができる。

<ご参考>システム構成図

システム構成図

Far EasToneについて

Far EasTone Telecommunications(FET)は、通信およびデジタルアプリケーションサービスを提供する台湾のリーディングカンパニーです。FETは、「信頼性、敏捷性、革新性、協調性」をコア・バリューとしています。1997年の創業以来、2G、3G、4G、5G、Wi-Fiを含むアクセス技術を活用した新製品およびサービスを導入し、2,600MHz帯で4.5G/LTEを台湾で初めて開始した通信事業者です。FETは顧客満足を追求し、ICT産業の垂直統合とビジネス向けの安全性の高いクラウドサービスを強化します。詳細はウェブサイトをご参照ください。
http://www.fetnet.net(別ウィンドウで開きます)

TBCASoft, Inc.について

TBCASoftは、米国を拠点に、通信事業者に特化した革新的なブロックチェーン技術の開発を行う企業です。このコンソーシアム型のブロックチェーン・プラットフォームにより、通信事業者はより安全、強固かつ効率的な環境で、顧客向けに革新的なサービスを創造することができます。本社所在地は、シリコンバレーの中心地である、カリフォルニア州サニーベールです。詳細はウェブサイトをご参照ください。
http://www.tbcasoft.com(別ウィンドウで開きます)

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遂にブロックチェーンで宅配を安全に受け取れる時代に

 ソフトウエア開発のセゾン情報システムズGMOインターネットなどと共同で、分散台帳技術「ブロックチェーン」を活用した宅配ボックスのシステムを開発した。宅配ボックスの開閉制御にブロックチェーンを使うことで、荷物を安全・確実にやりとりできる。2018年の実用化を予定している。
 インターネット通販の拡大による宅配便の取扱量の増加で、宅配ボックスの需要が伸びている。本人が不在でも荷物を届けられるため、再配達の手間を減らせる。一方、従来の宅配ボックスには暗証番号を忘れたり、カードキーを紛失したりするリスクがある。暗証番号を盗み見され、盗難に遭う可能性もある。
 セゾン情報は仮想通貨の基盤技術のブロックチェーンを使い、配達先として指定された人物だけが荷物を受けとれる仕組みを開発した。運送事業者と宅配サービスの利用者はスマートフォンスマホ)の専用アプリでボックスに出し入れする。
 まず、運送事業者がアプリにログインすると、利用可能なボックスの番号が表示される。ボックスに荷物を入れて扉を閉めたあと、配達先として登録されている利用者をアプリで指定して施錠を要求すると、ブロックチェーンに納入情報が記録されて鍵がかかる。
 すると配達完了のメールが利用者のスマホに送信される。利用者が自宅などに着いたらアプリにログインし、荷物が入っているボックスの番号を選択して扉を開ける。荷物を取りだすと、ブロックチェーンに受領情報が記録される。
 ブロックチェーンにはボックスの開閉履歴や施錠・解錠要求といった情報が改ざんできない状態で記録される。デジタルの鍵は利用者しか持っていないため、別人はボックスを開けられない。誰がいつ、施錠・解錠したのかもはっきりと分かることから、荷物が届かないトラブルが起きても、どこに問題があったかを分析できる。
 GMOインターネットが提供するクラウド型のブロックチェーン基盤にシステムを構築し、2016年12月と17年5~6月の2回、実証実験を実施した。セゾン情報の流通・ITソリューション事業部の久井康史事業部長は「今秋には運送事業者や宅配ボックスメーカーも加えた実験を計画している」と話す。
 外部のシステムと連携できる仕様「API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」で運送事業者や宅配ボックスメーカーなどに提供する。既存の配送システムや宅配ボックスにAPIを組み込み、ブロックチェーンに対応させることもできる。
 セゾン情報はシステムを課金や決済などのサービスと連携させる仕組みも用意する。例えば、荷物を受け取ったタイミングで自動課金する着払い方式の宅配ボックスを設置できる。「当社が流通システムの開発で培ったノウハウを生かし、パートナーづくりを進める」(久井氏)
 同社はこれらの取り組みを推進するため、7月にブロックチェーンを研究開発する横断組織「ブロックチェーンラボ」を立ちあげた。ほかのITサービス会社もブロックチェーンを活用したサービスの開発に力を入れており、様々な分野に広がりそうだ。(中島募)